――― 行く年来る年 ―――






                                                     おーい、蕎麦できたぞー! 食うかー?




                    わーいv 食べる食べる!




                                                     熱いから気ぃ付けろよ・・・。 ハイッと・・・。




                    えへへ。カカシ先生にお料理作ってもらうのって、初めてかも。

                    いっただっきまーす!




                                                     あれっ? 今まで作った事なかったけ?




                    うん、初めてだよ。(ズズ・・・)あっ、結構美味しい。




                                                     ハハハ・・・、そりゃ良かった。(ズズ・・・)




                    ねぇ・・・、カカシ先生?(ズズ・・・)




                                                     んぁ、(ズズ・・・)何?




                    今年もさ・・・(ズズ・・・)、いろんな事があったよね・・・。 



 
                                                    ああ・・・、そうだね・・・。(ズズ・・・)




                    先生と一緒にいろんなとこ行って、いろいろ遊んで・・・。フフッ。

                    あっ、先生、そこの七味取って!




                                                   ほらよっ。




                    ありがとっ!・・・ねえ、先生の今年の十大ニュースって何?




                                                  そうだなぁ・・・。(ズズ・・・)

                                                  んー・・・、まずはサクラと仲良く出来た事?





                   エヘへ!私も一番はそれかな? ・・・でも、結構仲良くしてたけど、

                   (ズズ・・・)たまに喧嘩もしちゃったよねー。




                                                   喧嘩・・・ねぇ。喧嘩って言うよりもサクラが一人で(ズズ・・・) 

                                                   勝手に怒ってただけじゃなかったっけ・・・。




                    えー・・・、そうかなぁ・・・。

                    でもそれって、カカシ先生が怒らせるような事したからじゃない?




                                                  そんな事してないって。

                                                  何でもない事をサクラが早とちりして怒って騒いでただけでしょーが。 

                                                  ・・・あっ、おかわり、まだあるぞ。




                    ひどーい! まるで私が自分勝手でそそっかしいだけみたいじゃない!

                    もう、そうやって人のこと馬鹿にして・・・。

                    どうせ私は早とちりで怒りっぽいですよーだ!




                                                  ハハハ・・・。ほらね、そうやって勝手に怒ってる・・・。(ズズ・・・)




                    ・・・・・・・・・・・・




                                                  あ、除夜の鐘だ。もうすぐ新しい年が始まるぞ。




                    ・・・・・・・(ズズ・・・)




                                                   おーい、サクラー。聞いてるー?




                    ・・・・・・(ズズ・・・)
 



                                                  ホラ、そっち向いてないで、ちゃんとこっち向けよ。こぼすぞ。




                    ・・・・・・やだ・・・(ズズ・・・)




                                                  オイオイ・・・。機嫌悪いまま新年を迎えるの?




                    先生が悪いんだもん・・・。   




                                                  はいはい。俺が悪うございました。だからこっち向けって。




                    ・・・思いっきり、馬鹿にしてるでしょ・・・。




                                                  馬鹿になんかしてないよ。・・・何としてもこっち向かない気か? 

                                                  はぁ・・・、しょうがないねぇ。じゃ、力ずくで!





                                              グイッ!





                     やだっ! ホントにこぼれるって ―――





                                              ギュッ・・・    









                                   もうすぐ一日が終わる。日付が変わる。今年が終わる。



                               楽しく過ごした一年の締めくくりをそんな怒った顔でやり過ごさないで。

                                  ちゃんと二人で向かい合って、過ぎ去る今年を送り出そうよ。
 
                              意地でもそっぽ向いてる気なら、強引にでもこっちを向かせてやるからな。 

                                  拗ねて暴れる君の身体を、愛しい想いで強く抱き締めた。

                              フーフー逆毛立つ気紛れな子猫に、何時だって振り回されっ放しの俺。

                            なかなか手荒い引っ掻き傷を残してくれるけど、それもまあ、君の魅力だから・・・。



                             君の唇に触れたまま今年が過ぎ去り、そしてそのまま新しい年がやってくる。

                          願わくば、来年もこうやって君と一緒に過ごせますように。君の笑顔が溢れますように。

                                      俺の側で綺麗な花が咲き誇りますように・・・。



                              上目遣いで睨みつける翡翠の瞳に、両手を挙げて降参の合図を送った。





                                              あけましておめでとう。





                                新しい年の誕生の瞬間を君と一緒に立ち会えて、本当に嬉しいよ。





                                              だから、いい加減に・・・、





                                                 機嫌直して。